「飽和脂肪酸は体に良くない」をなぜ信じてしまうのか (1) 問題を定義する

「ココナッツオイルは飽和脂肪酸だから体に良くない」
「ハーバードの教授がココナッツオイルを『ピュアポイズン』と言ってた」

このような「ココナッツオイルの危険性」「飽和脂肪酸のリスク」に関する質問をたくさんいただきます。

インターネットには情報が氾濫していて、その中で何を信じていけばよいのか、情報社会をどう泳いでいくのかという健康だけにとどまらない人生を生きる上で核心的な課題でもあり、また健康という絶対間違えることができない情報選択にどのように取り組むのか、という生命にかかわる問題でもあります。

その中で、正しい情報を手にしていくための、自分なりのサバイバル法に触れながら、このテーマを扱っていきたいと思います。

ちょうどこの二つのリンクを頂きましたので、参考に使っていきます。ココナッツオイルに対して批判を受けた、というものです。

資料1 「ココナッツオイルは純粋な毒」ブームから一転、体に悪いという説が浮上

資料2 「ココナッツオイルは毒そのもの」ハーバード大学の教授が指摘

本当はココナッツオイルと利害関係のない方が第三者の立場でなぜこのような誤解が起こるのかを簡単に解説してくれるのが一番良いです。

しかし、日本語でこのことを明快に説明できる能力と公衆衛生のために労力を厭わない方がまだ多くないのかもしれません。

問題が大きく奥深く複雑であるがゆえに、飽和脂肪酸悪玉論という栄養界最大の誤解が一向に解ける気配がありません。

「問題」を定義する

資料1で提起されているココナッツオイル批判の根拠は「飽和脂肪酸が多いから」です。

① ココナッツオイルは飽和脂肪酸が多い

② 飽和脂肪酸はコレステロールを増やす

③ コレステロールは心血管疾患リスクを上げる

④ だからココナッツオイルは心血管疾患を増やす

という論理の流れです。これを解いていくには

① ココナッツオイルは飽和脂肪酸が多いのか?
② 飽和脂肪酸はコレステロールを増やすのか?
③ コレステロールは心血管疾患リスクを上げるのか?

を調べていけばよいのですね。

結論からいうと、③が間違っているので、④のような誤解がはびこるのです。

資料2でも、ココナッツオイルにおける飽和脂肪酸の多さを問題にしています。

裏を返せば、飽和脂肪酸が多い、ということ以外は問題にされていないのでシンプルな問題だとも言えます。

③が間違いだ、ということを示すことができれば、 風評被害はまだ残っていますが飽和脂肪酸は無罪判決を勝ち取れるのです。

同じテーマの複数の記事を読めば、どのような問題が提起されているのかをだいたいこのようにつかむことができます。ほかのココナッツオイル批判記事も同じような内容でした。

ここではシリーズで

「〇〇はカラダにいい」もしくは 「〇〇はカラダによくない」

といった主張をどのように評価して真実にたどり着く確率を高めるのかをまとめてみます。

(1) 複数の同じような主張を展開している記事を読み、問題を定義する
(2) 主張の根拠の有無を確認する
(3) 主張の根拠を評価する: エビデンスの強さ
(4) 誰が主張しているのかを調べる
(5) 迷ったら First Do No Harm 進化生物学的に考える
(6) 直近の研究のアップデート

それでは次は(2)の主張の根拠を見ていきましょう。

1件のコメント

  1. 次の記事を楽しみにしております。大切な友人がこのことで悩んでおりますので、参考に共に学び考えさせていただきたいと思います!

返信を残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA