Yogaḥ citta-vṛtti nirodhaḥ
和訳では
「ヨーガ (Yogaḥ)とは、心のはたらき(citta-vṛtti )(想い・思考)の止滅 (nirodhaḥ)である」
ですね。
実はこの一節、パタンジャリがヨーガの要点をぎゅっとまとめた定義を提示している、いわば超重要な箇所。
ここで「ヨーガとは何か?」がズバリ示され、後の解説が展開していきます。
多くの先人たちがこのスートラに膨大な注釈をつけています。
なぜこのスートラが重要なのか?
前の記事で「ヨーガはただの体操じゃないんだね」と触れましたが、このスートラを読むとまさにヨーガ=心の状態を整えるものだとわかります。
- 「ヨーガは心の働きを鎮めること」 これだけでヨーガの本質をバッチリ示しています。 もちろん、身体を動かすアーサナや呼吸法、瞑想などの具体的な練習もすべてこの目的に向かっています。
- サーンキヤ哲学とペア ヨーガはサーンキヤというインドの哲学体系とセットで語られることが多いです。 サーンキヤ学派では、**プルシャ(純粋な意識)とプラクリティ(物質的な根源)**という2つの異なる実在があり、両者の接触によって世界が展開すると説明しているのですね。 ヨーガでは、このプルシャとプラクリティの関係性を理解しつつ、自分自身の純粋な意識を見つめようとするわけですね。
- 「まだピンとこなくてもOK」 初めて聞くと「純粋意識…?何それ…?」と思うかもしれませんが、パタンジャリは 「今は分からなくても大丈夫、後々詳しく解説していくよ」 と言わんばかりに、このあと何度も何度も繰り返し説明してくれます。 なので、このスートラを最初に読んだ段階で「うーん、むずかしい…」と感じても全然問題なしです!
現代生活にどう結びつくの?
「心の働きを鎮める」と言われても、毎日仕事や家事、スマホの通知で頭がいっぱい!という状態が普通ですよね。
でも、そこを少しずつ整えていくのがヨーガ的アプローチ。
たとえば、
- テレビのリモコンを探してあちこち走り回る:
この状態は心の中もガチャガチャです。落ち着きを取り戻すには、一度「立ち止まって深呼吸」。
すると「あ、そういえばキッチンに置きっぱなしだった!」と冷静に思い出せるかもしれません。
- SNSの通知が気になり続ける:
次々流れてくる情報に翻弄されると、プラクリティ(物質的世界)の渦に巻き込まれた感じ。
まずは通知をオフにしてみる、あるいは「今から15分は見ない!」と決めてみる。するとちょっと心が静かになって、自分の内側を感じる余裕が生まれます。
こうした日常のちょっとした“心のガチャガチャ”とした騒がしさを抑えていくのが、「心の働きを鎮める」という教えを実践する第一歩です。
今日のプラクティス:一瞬止まって「今どんな気分?」
やり方
- まずはイスに座ってみるか、立ち止まってみます。
- 目を閉じても、開いたままでもOK。
- 「今、どんな気分だろう?」と自分に質問してみてください。
- 頭に浮かんだことを評価したり、「こんなのダメだ」など評価せず、ただ観察してみます。
これだけで、頭の中で走り回っていた思考がちょっと落ち着きます。「心の仕事量を減らす」感覚に近いかもしれません。ぜひ、一息ついて心にスペースを作りましょう!
何にも考えないわけではない
“心のはたらきを止める”って聞くと「え、私はもう何も考えない悟りの仙人になるのか!?」みたいなイメージが湧くかもしれませんが、そんな風に極端にならなくて大丈夫。日常生活の中で、頭の中がオーバーヒートしそうになったときに、冷却ファンを回すイメージでクールダウンすればOKです。あれこれ考えすぎて発狂する前に、まずはチルアウトです。
問いかけとインスピレーション
今日のまとめとして、あなたに問いかけたいことがあります。
「あなたの“心のリモコン”は、どこに置きっぱなしですか?」
気づいたときに“今ここ”に意識を向けてみる。それだけでヨーガの一歩を踏み出せるはずです。ぜひ、次の記事までの間、ちょっとだけ意識してみてくださいね。
それでは次回も、またゆるっとスートラ探検していきましょう!お楽しみに。