サラダではなく、芋だった——カリウムをめぐる、祖先と私たちの食の話

厚生労働省もWHOも、「カリウムは1日3,000mg以上を」とすすめています1。 ところが現代人のほとんどが、この数字に届いていません。 サプリメントが足りない、という話ではありません。 問題は、私たちが「何を食べていな … 続きを読む

ミトコンドリアは、わざとエネルギーを「漏らして」いる

前回、消えた「8個のATP」は、どこへ行ったのかという記事を書きました。 学校で「38個」と習った数字が、いまでは「およそ30〜32個」に見直されている——その理由をたどると、最後に一つ、意外な行き先が残りました。 漏れ … 続きを読む

「R体」「L体」——サプリのラベルに隠れた、分子の利き手の話

サプリメントの成分表を眺めていて、成分名の頭に「R体」や「L体」、あるいは「D-」「L-」といった小さな文字がついているのを見たことはないでしょうか。 多くの人はそこを読み飛ばします。 けれど、この一文字には、その成分が … 続きを読む

「天然由来」は本当に優れているのか——答えは分子が知っている

商品の裏面に「天然由来」と書いてあると、つい、そちらのほうが良さそうに感じます。 「合成」と書いてあれば、なんとなく身構える。 この感覚そのものは、とても自然なものです。 ただ、この感覚が正しく働く場面と、まったく空振り … 続きを読む

五つの太陽が覚えていたもの ―― アステカ神話と、実在した五つの破局

アステカの人々は、世界がすでに四度、滅んだと信じていました。 獣に、風に、火に、水に。 四つの太陽が、それぞれ異なる破局で終わり、私たちはいま、五番目の太陽の下に生きている。 そしてこの太陽も、いつか地震によって終わる― … 続きを読む

巨人は、たしかにそこに埋まっていた ―― 神話という記憶装置の話

大地を掘ると、ときおり途方もなく大きな骨が出てくることがあります。 腕の骨が一本、人の背丈ほどもある。腿の骨は、大人が両腕で抱えても余る。 古代の人々はそれを見て、ひとつの結論にたどり着きました。 ――昔、ここには巨人が … 続きを読む

小さな花が名づけた千二百年の寒さ ―― ヤンガードリアスという「揺り戻し」

いまからおよそ一万二千九百年前のことです。 長い氷河期がようやく終わりかけ、地球は少しずつ暖まりはじめていました。 北の大地を覆っていた氷が溶け、森が北へ広がり、人も動物も、あたたかくなっていく世界にゆっくりと体を慣らし … 続きを読む

マヤ文明はなぜ「崩れた」のか――一つの原因では説明できない、二百年の物語

中米の熱帯雨林の奥に、いまも巨大な石の神殿がそびえ立っています。 ティカル、コパン、パレンケ。 かつて数万の人々が暮らし、暦を刻み、王の名を石碑に彫りつけた都市の跡です。 ところが西暦八〇〇年から九〇〇年ごろ、この南部低 … 続きを読む

海が一世代で街を飲んだ日 ―― 一万四千六百年前の「大洪水」の記憶

世界中の神話に、よく似た話が一つあります。 海がせり上がり、低地を飲み込み、人が高台へ逃げる。 ノアの箱舟も、ギルガメシュ叙事詩の洪水も、日本や太平洋の島々に散らばる水没伝承も、細部は違えど骨格はそっくりです。 これほど … 続きを読む