私がアメリカで暮らしていたころ、ピーナッツバターは、どの家の棚にもありました。
朝のトースト、子どものサンドイッチ、スプーンですくってそのまま。
食べものというより、生活の背景のような存在でした。
その同じ国で、2000年、アメリカ小児科学会の栄養委員会がこう勧めています。
アレルギー疾患の家族歴を持つ乳児には、固形食を始めるのを生後6か月以降にし、乳製品は1歳、卵は2歳、ピーナッツと木の実と魚は3歳まで、与えないほうがよい。
授乳中の母親にも、ピーナッツと木の実を食べないよう勧めていました1。
理屈は通っています。
アレルギーの原因になる食べものなら、出会う時期を遅らせればいい。
ところが、この勧めが広まっていったあいだに、ピーナッツアレルギーの子どもは、減るどころか増えていきました。
そして2008年、同じ学会が、この勧告を新しい臨床報告に置き換えます。
離乳食の導入を生後4〜6か月より後へ遅らせることに、アトピー性の病気 ―― アトピー性皮膚炎や喘息など ―― の発症を防ぐ根拠は乏しい。
妊娠中や授乳中の母親に食事制限を課すことを支持する根拠も、現時点ではない。
そう書かれていました2。
ただし、この報告が示したのは、遅らせても防げない、というところまでです。
早く導入すれば防げる、と述べた文書ではありません。
その問いに答える試験が組まれるのは、もう少しあとのことになります。
答えは、口の中ではなく、皮膚にありました。
同じ民族の子どもが、二つの国で分かれた
出発点は、一枚の集計表でした。
ロンドンの小児アレルギー医、Gideon Lack のグループが、イギリスに住むユダヤ人の学童5,171人と、イスラエルに住むユダヤ人の学童5,615人に、同じ質問票を配りました。
遺伝的な背景も、家庭の文化も、近い集団です。
質問票は、その答えが実際の診断とどれだけ合うかを、あらかじめ臨床の場で確かめたうえで使われています。
ピーナッツアレルギーの割合は、イギリスで1.85%、イスラエルで0.17%。
およそ10倍の開きがありました。
アトピーになりやすい体質の有無を統計的に調整しても、小学生でのリスク比は9.8倍でした3。
違っていたのは、食べはじめる時期でした。
研究チームは、同じ二つの国で、乳児の食べ方も調べています。
こちらはイギリスの乳児77人、イスラエルの乳児99人という、学童の調査よりずっと小さな調査です。
生後8か月から14か月のあいだ、イスラエルの乳児が1か月に食べていたピーナッツのタンパク質は、中央値で7.1g。
イギリスの乳児は、0gでした3。
避けていた国のほうが、多かった。
ここで押さえておきたいのは、この研究が集団を観察して差を見つけたものだ、ということです。
早く食べさせれば発症が減る、と証明した試験ではありません。
著者たちも、この差は遺伝的背景でも社会階層でも、ピーナッツそのもののアレルギーの起こしやすさでも説明できない、と書くところまでにとどめ、早期導入が発症を防ぐかどうかは、これから答えるべき問いだと位置づけています。
この表から、一つの仮説が立ち上がります。
同じタンパク質が、二つの道から入ってくる
Lack たちが立てたのは、二重抗原曝露仮説 (dual-allergen exposure hypothesis) と呼ばれる考え方です。
2008年の総説の中で、枠組みとして示されました。
総説は、それまでに出ている研究を整理して読み筋を提案する文章です。
この論文自体が、実験で仮説を確かめたわけではありません4。
同じ食物のタンパク質でも、体に入ってくる道が二つある。
一つは、口から。
もう一つは、皮膚から。
そしてこの二つは、免疫にまったく逆の学習をさせる。
口から入った食物タンパク質は、腸の粘膜で迎えられます。
腸の壁には、外から来たものを取り込んで免疫のほかの細胞に見せる、樹状細胞という係の細胞がいます。
この細胞が食物タンパク質を取り込み、腸のすぐ外側にある腸間膜リンパ節まで運びます。
そこでタンパク質は、攻撃すべき相手ではなく、通してよいものとして登録されます。
制御性T細胞 (regulatory T cells) という、反応を抑える側の細胞が誘導され、以後その食物には全身で反応が起きにくくなる。
これが、経口免疫寛容 (oral tolerance) です5。
この道筋は、多くの研究を突き合わせて描かれた見取り図です。
どの経路がどれだけ効いているかの重みづけには、研究のあいだで幅があります。
腸は毎日、大量の他人のタンパク質を通しています。
それを一つひとつ敵と見なしていたら、食事のたびに炎症が起きる。
だから腸には、「これは食べものだ」と学習するしくみが、あらかじめ備わっています。
一方、荒れた皮膚から入ると、話が変わります。
湿疹のある皮膚では、外からの分子を通さないはずのバリアが壊れ、その下で免疫細胞が炎症の側に傾いています。
同じタンパク質がそこを通って入ってくると、免疫はそれを、侵入してきた異物として記録します。
感作 (sensitization) ―― その食物に対する抗体ができ、次に出会ったときに反応する準備が整った状態です。
口から入れば、覚えて、通す。
皮膚から入れば、覚えて、構える。
向きを決めているのは、タンパク質の種類ではなく、入り口のほうでした。
最初の手がかりは、2003年に出ています。
イギリスの子ども13,971人を、生まれた時点から追いかけた出生コホート研究です。
ピーナッツアレルギーの既往が疑われた49人のうち、検査を受けた36人を調べ、23人が二重盲検の食物経口負荷試験で確定しました。
ピーナッツアレルギーと独立に関連していた要因のうち、皮膚に関わるものが三つあります。
関節の内側や皮膚のしわに出る発疹、滲み出してかさぶたになる発疹、そして、面接で聞き取った範囲での、ピーナッツ油を含む外用剤の使用です。
それぞれのオッズ比は、2.6、5.2、6.8。
オッズ比というのは、その要因を持つ子と持たない子で、その病気の起こりやすさが何倍違うかを表す数字です。
一方、臍帯血にピーナッツに対するIgE抗体は検出されていません。
母親の妊娠中の食事を通して、生まれる前に感作が起きていた形跡は、見つかりませんでした6。
食べる前に、皮膚が先に出会っていた。
この研究の弱いところは、外用剤を使ったかどうかを、あとから母親に思い出してもらって聞いている点にあります。
子どもにアレルギーが出た家庭のほうが、過去の出来事をよく覚えている、ということが起こりえます。
著者たち自身、今後の研究で確かめる必要がある、と結んでいます。
皮膚が閉じているかどうかで、結果が変わる
では、皮膚の側は、何で決まるのでしょう。
皮膚のいちばん外側、角層 (stratum corneum) をつくるタンパク質に、フィラグリンがあります。
角質細胞のあいだを埋め、水分を保ち、外からの分子を通さない ―― バリアの要にあたるタンパク質です。
このフィラグリンをつくる遺伝子(FLG)に、はたらきを失う変異を持つ人がいます。
2006年、この変異が、アトピー性皮膚炎の大きな素因であることが報告されました7。
そして2011年。
食物経口負荷試験 (oral food challenge) ―― 医療機関で実際に食べさせて反応を確かめる検査 ―― でピーナッツアレルギーが確定した、イギリス・オランダ・アイルランドの患者71人と、ピーナッツに感作していないイギリスの一般集団1,000人を比べた症例対照研究があります。
この変異を持つ割合は、患者側で明らかに高くなっていました。
オッズ比は5.3。
白人カナダ人の患者390人と対照891人でも同じ向きが再現され、こちらのオッズ比は1.9でした。
アトピー性皮膚炎を併発しているかどうかを統計的に調整しても、関連は残っています8。
皮膚のバリアをつくる遺伝子が、食物アレルギーの側に効いている。
食べものの話が、皮膚の話につながった地点です。
ただし、この変異を持つ人の多くは、ピーナッツアレルギーを発症しません。
起こりやすさを一段上げる素因の一つであって、行き先を決める因子ではありません。
家の埃を測った研究もあります。
生後1年間に家庭内の埃へ含まれていたピーナッツタンパク質の量を実測し、8歳・11歳時点の感作とピーナッツアレルギーに突き合わせた出生コホート研究です。
家の埃に含まれるピーナッツタンパク質が、その家庭の消費量を反映していること、そしてアレルギーを起こす力を保ったままそこにあることは、同じグループの先行研究が確かめています。
乳児期のアトピー性皮膚炎と、先に起きていた卵への感作を統計的に調整したうえで、埃の量とフィラグリン遺伝子の変異のあいだに、交互作用がみられました。
交互作用というのは、一方の条件によって、もう一方の効き方が変わることです。
変異を持つ子どもでは、埃の中のピーナッツタンパク質が多いほど、感作の起こりやすさは6倍以上、アレルギーの起こりやすさは3倍以上へと上がっていきます。
変異を持たない子どもでは、埃の量による差は見られていません9。
同じ家に住み、同じ空気を吸っていても、皮膚が閉じているかどうかで、結果が分かれる。
これも観察研究です。
皮膚から入って感作が成立する、という道筋そのものを見たわけではありません。
湿疹の早さと強さが、そのまま並んでいる
オーストラリアで、一般の集団から集めた1歳児4,453人を調べた横断調査があります。
湿疹の既往を聞き取ったうえで、看護師が実際に皮膚を診察し、ピーナッツ・卵白・ゴマの皮膚プリックテスト ―― 腕の皮膚に少量の抽出液をつけ、針で浅く刺して、ふくらみが出るかを見る検査 ―― を行いました。
ふくらみが出た子どもは、大きさを問わず全員、食物経口負荷試験を受けています。
湿疹のある乳児の5人に1人が、ピーナッツ・卵白・ゴマのいずれかにアレルギーを持っていました。
湿疹のない乳児では、25人に1人。
オッズ比は6.2です。
食物ごとに見ると、1歳までにピーナッツアレルギーを持つオッズは湿疹のない子の11.0倍、卵アレルギーは5.8倍でした。
生後3か月より前に湿疹が始まり、医師の処方した外用ステロイドによる治療を必要とした子どもでは、負荷試験で確定した食物アレルギーの割合が50.8%に達しています10。
湿疹の早さと強さが、そのまま食物アレルギーの確率と並んでいます。
皮膚から始まるという仮説から見れば、順序として自然な並び方です。
ただしこの調査は、1歳という一つの時点で、湿疹と食物アレルギーを同時に見ています。
並んでいることを示したのであって、湿疹が食物アレルギーを引き起こした、という順序を示したものではありません。
ここから先は、専門医の領域です
ここまで書いてきたのは、まだ食物アレルギーを発症していない子どもについて、発症がどう始まるかという話です。
すでに食物アレルギーを発症している子ども ―― とくに、アナフィラキシーを起こしたことのある子どもは、まったく別のカテゴリに属します。
その子にとって、その食物は、免疫がすでに構えを終えた相手です。
早く食べさせたほうがよい、という話は、この子たちには当てはまりません。
何を、いつ、どれだけ導入するかは、皮膚プリックテストや血液検査、そして医療機関で管理された食物経口負荷試験を通して、アレルギー専門医が決める領域です。
アメリカの指針も、リスクの段階ごとに、事前の検査と医療者の立ち会いをどこまで求めるかを分けて示しています11。
導入の判断は、必ず小児科医・アレルギー専門医とともに進めてください。
この記事を根拠に、家庭の判断で新しい食物を試すことは、危険です。
湿疹についても同じです。
乳児の湿疹をどう治療するかは、皮膚科と小児科の管理下にある話で、この記事は、その方針を示すものではありません。
ここで書けるのは、皮膚の状態と、免疫がそのあとにたどる道筋とのあいだに、これだけの関連が観察されている、ということまでです。
そして、この話は、親の努力の量についての話でもありません。
分かってきたのは、皮膚という一枚の膜の状態が、免疫の学習の向きに関わっていた、ということです。
LEAP と EAT ―― 何を示し、何を示していないか
冒頭の2000年の勧告は、臨床試験ではなく、専門家の見解にもとづくものでした。
声明自身が、暫定的なものだと断っています。
それでも理屈が通って見えたので広く受け入れられ、イギリス、オーストラリア、そして近年までの北米で、同じ方向の指導が続きます11。
そして2015年、決着をつけにいく試験が組まれます。
LEAP試験。
重い湿疹、あるいは卵アレルギー、またはその両方を持つ、生後4か月以上11か月未満の乳児640人。
この子どもたちを、60か月齢までピーナッツを食べ続ける群と、避け続ける群に、無作為に割り付けました12。
参加者は、入る前に受けたピーナッツ抽出液の皮膚プリックテストの結果で、二つのグループに分けられています。
ふくらみが出なかった子どもと、1〜4mmのふくらみが出た子ども。
それぞれのグループで、独立に結果を出す設計です。
ふくらみが5mm以上出た子どもは、そもそも組み入れから外されています。
皮膚テストが陰性だった530人では、60か月齢の時点でピーナッツアレルギーを持っていた割合が、避けた群で13.7%、食べた群で1.9%。
すでに弱い反応が出ていた98人でも、避けた群の35.3%に対し、食べた群は10.6%でした。
重い有害事象の起こり方に、二つの群のあいだで差はありませんでした12。
その後の追跡もあります。
LEAP-On試験では、参加者628人のうち556人を組み入れ、5歳から6歳までの1年間、全員にピーナッツを避けてもらいました。
72か月齢の時点でピーナッツアレルギーを持っていた割合は、もともと避けていた群で18.6%(280人中52人)、食べていた群で4.8%(270人中13人)。
食べていた群では、60か月時点の3.6%から72か月時点の4.8%への変化にとどまり、1年やめたことによる目立った増加は起きていません。
それより長く空けたときにどうなるかは分かっていない、と著者たちが明記しています13。
ここで見落としたくないのは、LEAPが誰を対象にしたかです。
重い湿疹か卵アレルギーを持つ、発症リスクの高い乳児。
そして、参加前の検査で強い反応が出た子どもは、試験から除かれています。
この試験が示したのは、専門医が選別したうえで、管理下に導入した場合の結果です。
一般の集団にそのまま当てはめられる数字ではありません。
翌年のEAT試験は、別の問いを立てました。
リスクを問わず一般の集団から募集した、完全母乳の生後3か月児1,303人。
ピーナッツ、加熱卵、牛乳、ゴマ、白身魚、小麦の6食物を、生後3か月から順に導入する群(解析対象567人)と、生後6か月ごろまで完全母乳を続けるイギリスの標準的な推奨に従う群(595人)に、無作為に割り付けています。
見たのは、1歳から3歳のあいだに、この6食物のいずれかへのアレルギーが出るかどうかです14。
結果は、読み方が二つに分かれました。
割り付けどおりに全員を数える解析 (intention-to-treat) では、6食物のいずれかにアレルギーが出た割合は、標準導入群で7.1%、早期導入群で5.6%。
差は、統計的に意味を持つ大きさには届きませんでした。
決められたとおりに食べられた子だけを数える解析 (per-protocol) では、2.4%と7.3%。
ピーナッツに限れば、早期導入群は0%、標準導入群は2.5%。
卵は1.4%と5.5%でした。
牛乳・ゴマ・魚・小麦には、差はついていません14。
この隔たりが、そのままEATの結論です。
6食物を生後3か月から週に一定量ずつ食べさせ続けることは、多くの家庭にとって簡単ではありませんでした。
安全性の問題は起きていません。
けれど、割り付けどおりに続けられた家庭は、一部にとどまりました。
ピーナッツや卵白のタンパク質を週に2g食べられていた子どもでは、それぞれのアレルギーの割合が低くなっています。
ですからEATが示したのは、早期導入に意味がない、ということではありません。
この形で一般集団に広く実施することが難しかった、ということです。
ただし、あとから遵守できた子だけを取り出す解析は、遵守できる家庭とそうでない家庭の違いも一緒に拾ってしまいます。
無作為に割り付けたことの強みが、そこで失われる。
per-protocol の数字は、この留保をつけたまま読むことになります14。
日本で行われた試験が、条件を一つ足した
PETIT試験。
日本の二つの施設で、生後4〜5か月で湿疹のある乳児147人を、加熱した鶏卵の粉末を食べる群と、偽薬を食べる群に、二重盲検で1対1に割り付けました。
卵群が食べた量は、生後6か月から9か月までが1日50mg、そこから12か月までが1日250mgです15。
特徴は、試験のあいだ、全員の湿疹を積極的に治療し、悪化させないまま維持した点にあります。
皮膚を閉じたうえで、口から入れる。
二重抗原曝露仮説を、そのまま設計に写したような試験です。
1歳の時点で、何を食べていたかを伏せずに行う食物経口負荷試験で、卵アレルギーの有無を確かめました。
アレルギーが確認されたのは、卵群60人中5人(8%)、偽薬群61人中23人(38%)。
100人が到達した時点の中間解析で差がはっきりしたため、試験は途中で終了しています。
同時に、入院を要した事象が、卵群60人中6人(10%)、偽薬群では0人と記録されました15。
10人に1人です。
医療機関の管理下でなければ成り立たない設計だということが、この数字に表れています。
そしてこの結果は、湿疹の治療と医療機関の関与を前提にした条件下のものです。
同じ手順を家庭で再現できることを示した試験ではありません。
allergy という言葉が、もともと指していたもの
allergy という言葉は、1906年7月24日、ウィーンの小児科医 Clemens von Pirquet が、ドイツ語圏の医学週刊誌に載せた2ページの小論で作りました16。
ギリシャ語の allos「他の、変わった」と、ergon「働き、反応」。
合わせて、「変わった反応」。
von Pirquet がドイツ語で書いたのは、veränderte Reaktionsfähigkeit ―― 変化した反応能力 ―― という言い方です。
同じ抗原にもう一度出会ったとき、体が反応する力そのものが、一度目と変わっている。
彼が名づけたかったのは、その現象でした。
この言葉が生まれたとき、そこに「有害」という意味は入っていませんでした。
守る側に変わることも、傷つける側に変わることも、どちらも allergy でした。
100年たって、この言葉は、悪い反応のほうだけを指すようになりました。
けれど、二重抗原曝露仮説が言っているのは、von Pirquet の元の意味にずいぶん近いことです。
同じピーナッツのタンパク質に、免疫は二通りの学習をします。
腸から入れば、通してよいものとして。
荒れた皮膚から入れば、構えるべきものとして。
反応が変わるのは、相手が変わったからではなく、出会った場所が変わったからでした。
免疫は、敵を見誤ってはいません。
入ってきた道に応じて、別の答えを出しています。
入り口の話として
この20年で入れ替わったのは、食べはじめる時期の勧め方だけではありませんでした。
食物アレルギーを、消化管の問題として見るか、皮膚の問題として見るか。
見る場所そのものが移ったのですね。
日本の『授乳・離乳の支援ガイド』も、2019年の改定版で同じ向きに書き換わりました。
33ページ「(5)食物アレルギーの予防について」の「ア 食物アレルギーとは」に、こうあります。
食物アレルギーの発症リスクに影響する因子として、遺伝的素因、皮膚バリア機能の低下、秋冬生まれ、特定の食物の摂取開始時期の遅れが指摘されている
続く「イ 食物アレルギーへの対応」には、こう書かれています。
食物アレルギーの発症を心配して、離乳の開始や特定の食物の摂取開始を遅らせても、食物アレルギーの予防効果があるという科学的根拠はないことから、生後5~6か月頃から離乳を始めるように情報提供を行う
同じ33ページは、進め方についても書いています。
離乳を進めるに当たり、食物アレルギーが疑われる症状がみられた場合、自己判断で対応せずに、必ず医師の診断に基づいて進めることが必要である
子どもに湿疹がある場合や既に食物アレルギーの診断がされている場合、または離乳開始後に発症した場合は、基本的には原因食物以外の摂取を遅らせる必要はないが、自己判断で対応することで状態が悪化する可能性も想定されるため、必ず医師の指示に基づいて行うよう情報提供を行うこと
19ページには、妊娠中や授乳中の母親が特定の食品やサプリメントを過剰に摂取したり避けたりすることに、予防効果は示されていない、との記述もあります17。
家庭でできることの範囲は、ここでははっきりしています。
乳児の湿疹に気づいたとき、それを皮膚の悩みとしてだけでなく、皮膚科と小児科に相談する理由として受け取ることができます。
いつ何を食べさせるかは、その相談の中で決めていく領域です。
私たちが長いあいだ見ていたのは、口でした。
体が答えを決めていた場所は、皮膚のほうでした。
赤ちゃんの頬に手を当てたとき、その手ざわりが、なめらかか、ざらついているか。
免疫がどちらの学習をするかは、そこから分かれています。
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