日本でも高級食品スーパーやレストランなどでグラスフェッドという表示のお肉が提供されるようになりました。
この中には残念なことに飼料の一部しか牧草が与えられていないケースもあります。
食べてみるだけで明らかにクラスフェッドでないとわかるお肉もあるほどです。
この大きな原因の一つは「グラスフェッド」の言葉に表示規制がないことです。
グラス フェッド の意味は牧草を食べたという意味があります。
ほぼ全ての牛さん達は離乳直後は牧草を与えられますので、一つの見方としては全ての牛さんはグラスフェッドだとの解釈が成り立ちます。
牧草で飼育される牛さんたちは出荷前にフィニッシングと言う食事期間を与えられます。
これは市場が脂身が多くやわらかいお肉を求めているため、出荷前に穀物で肥育を行い、あえて代謝障害を起こすことにより、筋肉の中に脂肪を貯える工程です。
いわゆる「さし」や「霜降り」などと言われていますが、人間も穀物を食べ過ぎると肥満となるように、牛さん達も遺伝子とミスマッチしているものを食べさせられると筋肉内に脂肪を蓄えていくのです。
この場合、食肉卸までの枝肉、塊肉のラベルには「グラスフェッド」 のほかに「ショート」「ミドル」「ロング」などとフィニッシング期間である穀物肥育期間が記されていることがあります。
つまり、グラスフェッドなんだけども、出荷前にこれだけの期間で穀物を与えてより美味しくしましたよ、ということです。
ところが、小売りやレストランで出てくる時は、この表示は全く見たことがありませんね。「グラスフェッド」としか記されていません。
具体的な期間はこれもガイドラインが特にあるわけではないのですが、それぞれ
ショート (約80日)
ミドル(約150日)
ロング (約200日~)
と解釈されます。
しかし研究においてはグラスフェッドでもショートの穀物肥育を与えられるだけでオメガ3や共役リノール酸などの有益な脂肪酸はほぼ消滅することがわかっています。
このため海外ではグラスフェッドの表記への信頼が下がってきており、「グラスフェッド&グラスフィニッシュド」と表記されてあるのを確認して購入する消費者が増えてきています。最初からさ最後まで牧草を食べていたのか?ということですね。
また、同じグラスでも緑の牧草と枯草では栄養が異なります。そしてお肉の味にはその牧草地の様々な品種のフレーバーが反映されていきます。安心してそのあたりも楽しめるようになりたいものです。
日本国内では「グラスフェッド」のお肉もまだ広く流通されているわけではありませんが、できれば、「グラスフィニッシュド」なのかどうかも確認して消費したいものですね。