脂質代謝とは?


体のほぼすべての組織は 遊離脂肪酸を燃料に使うことができます。

遊離脂肪酸、最初に聞いた時は「不幽霊」のようなちょっと怖い感じがしたのは私だけでしょうか?英語ではFree Fatty Acid つまり自由な脂肪酸となります。自由脂肪酸とそのまま訳した方がすっきり気持ちがよいのですけどね。

通常オイルや脂肪はトリグリセリドといって、3つの脂肪酸がグリセロール分子と結合しています。

これが消化で遊離脂肪酸とグリセロールに分解されます。

グリセロールは糖新生によってブドウ糖へと変換されます。これは脂肪からの「糖新生」ですね。糖新生というと、そのほとんどがたんぱく質からなのですが、脂質やその他の栄養素からもカラダは糖を作っていきます。

しかし、グリセロールは脂肪のエネルギーのわずか10%程度しかありませんので、基礎の講座では触れられることはありません。

遊離脂肪酸はそのまま細胞の燃料となります。これからは略して「脂肪酸」と呼んでいきます。

さて、ほとんどの組織は脂肪酸を燃料として使えますが、いくつかの組織は例外です。脳、赤血球、腎臓、骨髄、筋肉のなかでもタイプIIと言われる筋繊維です(1)。 これらの組織は常にブドウ糖を必要としています。

この「脳が脂肪酸を燃料として使えない」ということが、生理学において、「脳は糖しか使えない」、という大きな誤解につながっています。 しかし、脳は、糖質が大量に供給されている間はブドウ糖で代謝しますが、ブドウ糖の供給量が低下すると、短期間でケトン体の利用を開始します。

しかし、ケトン代謝の状態でも、使用燃料が全てブドウ糖からケトン体へ変化する、というのは間違いで、どれだけケトン代謝が進んだとしても、 脳では全エネルギー消費量の75%しかケトン体で補うことができません。残りの25%は ブドウ糖に依存します。

ですので、「脳にはブドウ糖が常に必要である」といういい方であれば、これは正しいのです。この25%の糖を、食事から摂取する糖質とたんぱく質からの糖新生でどのようにバランスをとっていくのかも、ケトン代謝の最適化を求めている人は考えていかないといけけません。

個体差、タイミング、状況において、最適なバランスは異なってきます。

ケトン体の生産量はブドウ糖の供給量によって決まります。標準食を食べている間は血液のケトン体濃度は低く、細胞に対すエネルギー供給の貢献度はほぼ無視できます。

ケトーシスの三日目にはケトン体はフル生産されますので、糖新生で作られるブドウ糖を除けば、エネルギの全てを脂肪酸とケトン体に依存し始めます。

さて脂質代謝を開始後、約3週間後にはケトン体生産及びケトン体 利用のために働く酵素の発現は低下し、脳を除くほぼすべての器官は脂肪酸を燃料として使っていきます。

ウロペーパーやケトン体計測器などで ケトン体濃度を測っていると、ケトン食の開始後、最初の数週間は強い紫色が出ていたにも関わらず、それ以降になると薄い紫色しか出てきません。 脂質代謝が低いんじゃないか、燃料が足りないんじゃないか、と心配される方がいらっしゃいます。

これは、脂質代謝の深度が深まってくると、脳以外の器官はケトン体ではなく脂肪酸を代謝するようになり、 肝臓は脳に使われるためのみのケトン体の生産を行いますので、血中ケトン体濃度は必然と、当初の全身でケトン体を使っていた時のレベルから下がってくるからです。

脂肪由来燃料としてはケトン体しか使えない脳に対し、常に十分な燃料を配分するためのカラダの順応と言えます。

ある意味、ケトン体は 糖代謝と脂肪代謝のスイッチをスムーズにする一時的な燃料だとも言えます。しかし脳にとっては食事からブドウ糖の供給がない状態では、ケトン体は常に重要な燃料であり続けるので、脂質代謝の状態が「ケトーシス」や「ケトン代謝」と呼ばれるのも納得がいきます。

1.この真偽についてはまだ議論があります

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