術前化学療法ががん転移リスクを高める?


「ネオアジュバント(術前化学) 療法」という言葉をご存知でしょうか?

手術の前に抗癌剤を投与することで腫瘍は縮小し、時には消えることもあるので、本術後の再発リスクを抑える可能性が高まるとされています。

しかし、すべての腫瘍が縮小するわけではなく、腫瘍が術前化学療法に耐えると、転移リスクが高くなり、骨や肺などの他の臓器での再発リスクが高くなります。

昨年末に発表された論文で、術前化学療法によく用いられる抗がん剤、パクリタキセルとドキソルビシンによる治療で乳がん腫瘍がアネキシン-A6というたんぱく質を含むエキソソームと呼ばれる小胞体を分泌することが報告されていました。(1)

化学治療を受けていない腫瘍からは、このたんぱく質を含むエキソソームは分泌されません。化学療法への反応としてアネキシン-A6を含むエキソソームの分泌が増加します。

エキソソームが血流で肺に到達した後、アネキシン-A6が放出され、これが肺細胞を刺激すると、単球を誘導するたんぱく質、CCL2、を分泌します。

これまでの研究で単球は肺における癌細胞の生存および増殖を促進することがわかっており、癌が多臓器に転移する際の足掛かりとなります。

この研究者は化学療法中にアネキシン-A6の中和や、単球をブロックすることが乳がん腫瘍の肺転移を防ぐことを発見しています。

単球阻害薬は数多く開発されており、これを術前療法と併用することで転移を抑制できる可能性があることから今後の試験が期待されています。

  1. https://www.nature.com/articles/s41556-018-0256-3

 

 

 

 

カテゴリー: 生理・生化学

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