進化は鉄排出機能を優先しなかった
鉄は食事から摂取できる希少ミネラルでした。進化はを鉄を体内に貯める機能を排出より優先したため、殆どの動物は鉄を効率的に排出できません。
体内鉄分はは酸化による害を起こしますが、これは今すぐ病気となって現れません。蓄積した鉄の害が現れるとしても、女性の多くでは閉経後ですので、鉄の排出機能が自然淘汰によって高められなかったのでしょう。
また、現代では食事が高糖質食になったため、鉄をより吸収してしまいます。糖は鉄の生可用性を高め、フェリチンを増加させます。(1)
高くなったフェリチンをどのように下げるのか。これはいかに健康で長寿に生きるのか、という本質的な問いです。
1.瀉血、献血
「瀉血(しゃけつ)」という言葉は知らない方もいるかもしれません。血液を体外に排出することを指します。中世では医師にできる主な治療法というのは瀉血くらいだった、というほどでした。
そもそも以前は多価不飽和脂肪酸の大量摂取や睡眠不足、運動不足など、慢性病になる理由がほぼなかったことから、代謝障害による慢性病は不幸にも体内鉄分が多かった人ぐらいしかいなかったのかもしれませんね。そう考えると多くの病気が瀉血療法で治ったこともつじつまが合います。
しかし、「瀉血」は何か謎めいて怖いという印象があるかもしれませんね。
でも「献血」だったら、ハードルが少し下がる気がしませんか?同じことなんですけどね。
日本の赤十字社だと一回の献血量は400mlで、成人の平均血液量5Lの8%くらいです。一度の献血で約 220 mgの鉄が排出できます。一回の献血で減少するフェリチンの目安は30ng/mlです。
では頻繁に献血を行うと体内から鉄がなくなってしまうのかというとそうでもなく、献血回数を増やすと鉄分吸収率が上昇しますので、結局正常なレベルでバランスがとれます。
特にフェリチンが200ng/ml以上あるなど、体内貯蔵鉄が異常に高い場合を除き、献血は年に1回で十分です。念のために半年に一度でもよいでしょう。それ以上の献血頻度は一回の鉄の減少幅は少なくなるので、趣味でもない限り意味がありません。
閉経前の女性は生理によって貯蔵鉄は低く保たれますが、閉経後は貯蔵鉄は徐々に上昇していきます。女性の献血は閉経後から行うのもよいでしょう。男性は19歳から体内鉄分は上昇しますので若いうちから年一の献血習慣をつけるとよいでしょう。
成長期の子供は鉄分は多く使いますので、献血は必要ありません。
献血で鉄分が少なくなりすぎないかしら、と思う方はご心配なく。献血の前には検査があり、貧血の恐れがある方は献血できません。
残念なことに、日本赤十字社の献血センターは16-64歳の献血しか受け付けていません。瀉血を医療サービスとして受ける方法について詳しい方は教えてください。
2.ハードな運動
鉄分は発汗、そして運動の負荷や時間によっておこる腸内出血で排出されます。しかし、発汗による排出量は僅かで、腸内出血が起こるほどの負荷を頻繁に体にかけるのも別の腸の問題を起こしますので、あまり現実的ではありませんが、運動を継続する長期的によいことです。
1.PLoS One. 2013; 8(12): e83031.