この質問はとても重要で、とても大きな誤解にアプローチします。
血液はほぼ水分です。そして油は水に溶けません。
それで、飽和脂肪酸は体温が冷えたら血液の中で固まるのではないか?という疑問を持たれるのも理解できます。
リポリシス(細胞における脂肪分解)で中性脂肪は三つのの遊離脂肪酸(以下、脂肪酸)とグリセロールに分解されます。
脂肪酸はアルブミンという水溶性タンパク質に結合し、血液の中を運搬されます。一旦血液の中に入ると脂肪酸は赤血球や脳を除く体内のほとんどの組織で燃料として利用されます。
しかし生理学でこのことを理解してるはずの研究者や医師等が、飽和脂肪は血液の中で固まり、心臓発作や脳梗塞を起こす、などと吹聴しているのは、何が目的なのか理解に苦しみます。
さて、他の組織に使われずに肝臓にたどり着いた脂肪酸は肝臓内で燃焼されます。
肝臓で十分な遊離脂肪酸があり、断食や限られた炭水化物摂取による体内ブドウ糖量の低下により糖新生が起こっている場合、脂肪酸はケトン体へと転換され、ケトン体は血液を通して全身に運ばれます。
この仕組みがわかると、ケトン体の産生のために重要な2つの栄養摂取が明らかになります。
まず、分解した脂肪酸を運搬するアルブミンを十分に作るためには、タンパク質を十分に摂取しないといけません。
また、原料である脂肪酸が十分でないとケトン体の生産量は多くなりません。体脂肪量が少ない方、そして脂肪やオイルの摂取が少ない方は、ケトン体生産量は上昇しにくい傾向にあります。