オリーブオイルは酸化しやすいのか?しにくいのか?


オリーブオイル
ヘルシーオイルとして知られているオリーブオイルは熱によって酸化しやすいのか?しにくいのか?様々な情報が流れていますが、「酸化しやすい」、「酸化しにくい」、のどちらかで結論づけられていることが多いですね。
何と比較するのか、どの観点で見てみるのか、によって答えは変わってきます。今日はそのことを書いてみます

オリーブオイルと他の植物オイルの比較

「酸化しにくい」と主張されている方が使っている理由は、「他の植物オイルと比較して」ということです。
この研究はその根拠としてよく使われています。
Food Research International , Volume 50 (1) – Jan 1, 2013 Oxidative stability of olive, corn and soybean oil under different conditions
「オリーブオイル、トウモロコシ油、大豆油の酸化に対する安定度」
オイルの酸化は熱だけでなく、空気に触れたり、光に当たっても促進されます。この研究は「熱」「空気」「光」の3つの環境変化でオイルがどのように酸化するのかを比較しています。
加熱は180度で、30分、60分、90分のそれぞれでオイルの質の計測が行われました。
olive_heating

過酸化物価とは油脂の酸化を測る指標で、オイル1Kg当たりの酸化物の量の値です。臭いなどで明らかに酸化しているとわかるのは20~30程度で、それまで酸化は進行しますが、強い酸化臭がしたり、食べたら急に体調が悪くなるようなことは健康な人ではまず起こりません。

オリーブオイルはあきらかにトウモロコシ油や大豆油と比較すると酸化しにくいオイルですね。トウモロコシ油や大豆油は多価不飽和脂肪酸中心のオイル。オリーブオイルは一価不飽和脂肪酸中心のオイル。脂肪酸分子に不飽和の箇所が多くなればなるほど酸化しやすくなりますので、当然の結果です。

 オリーブオイルの酸化

では、オリーブオイルのみを見てみましょう。コントロール(非加熱)と比較して30分の加熱では過酸化物価は3倍の3.3です。
多少酸化していても香りにも味にも現れないのは、油の怖さの一つでもあります。
食品衛生規格により過酸化物価が3程度で販売禁止になる食品はありません。加工食品を普段から食べている方はこの程度の酸化物はいつも摂取しています。頻繁に摂らない限り神経質になる必要はありません。
健康に意識の高い人、諸事情で酸化物を摂取したくない人はできるだけ酸化しているオイルは摂りたくないと考えるでしょう。
その場合、オリーブオイルよりも酸化しにくい、より飽和脂肪酸を多く含むオイルであるラードやバター、ココナッツオイルなどをすでに選択しているはずです。

オリーブオイルとココナッツオイル

オリーブオイルとココナッツオイルを直接比較した加熱試験の研究は残念ながら見つけることができませんでした。
ココナッツオイルの加熱試験はいくつかありましたので、その一つをご紹介します。
J. Trop. Agric. and Fd. Sc. 40(1)(2012): 35– 44 S.P. Koh and K. Long  Oxidative stability study of virgin coconut oil during deep frying
「バージンココナッツオイルの加熱(揚げ)における酸化安定度の研究」
ココナッツオイル 加熱 酸化
この試験では初期値の過酸化物価が1.4のバージンココナッツオイルで一日3.5時間かけながら1バッチ100gグラムのポテトチップス10バッチを170℃で、5日間にわたり揚げたときのオイルの性質の変化を記録されています。1日3.5時間の加熱で、ポテトを揚げた状態での過酸化物価が2.6となっており、長時間加熱の後でも酸化は微々たるものです。
ただここで気を付けておきたいのが、先ほどのオリーブオイルとこのココナッツオイルの試験の結果を直接比較することはできない、ということです。なぜなら、過酸化値の値はオイルの種類の酸化しやすさ、のみでなく、①加熱温度、②揚げ物をつかってるかどうか、使っているのであればその内容、③オイルの質、などにも影響されます。
例えば、オリーブオイルの主成分は一価不飽和脂肪酸です。多価不飽和脂肪酸は約10%しか含んでいません。オリーブも品種によっては酸化しやすい多価脂肪酸のリノール酸が20%近いものもあります。また、バージンオイルの場合、そこに含まれている抗酸化物質の量でも酸化しやすさを大きく変化させます。
おすすめ
セミナーではいつも話していますが、美味しく食べることで栄養価の高い食材をたくさん食べていくことを重視しています。
人間は多少の酸化物は還元する抗酸化物質を体内で作っています。健康であれば、イタリア料理に典型的な風味を得るために、オリーブオイルに関しては多少酸化したとしても加熱して使ってもよいと思います。短い時間で調理するのであれば酸化は限定的だからです。
抗酸化に強くこだわる方は飽和脂肪酸が多いバターや動物脂肪、ココナッツオイルで調理をし、出来上がった料理にオリーブオイルを加えてイタリアン風味を出すのがよいですね。熱への露出が限定的ですので、酸化もほぼ起こりません。オリーブオイルは生で摂るのが安全ですね。
カテゴリー: 栄養, 食事と身体

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