ケトジェニックで褐色便が出る

便の色でカラダに何が起こっているのか、ある程度推測することができます。

標準食からケトジェニックに移行した時に、便が褐色のタール状になるこの現象について考えていきましょう。

糖代謝からケトン代謝へ

世の中には星の数ほど多くの食事法がありますが、燃料代謝で分類すると、大きくは高糖質食と高脂質食に分かれます。

ケトジェニック食を行う多く方にとって、それが初めての高脂質食の実践です。

燃料が糖質から脂質に移行する際には、代謝酵素や内分泌の大きな変化が起こりますので、一定の順応期間が必用です。

ケトジェニック食への移行期間における便の色に影響を与える3つの要素が考えられます。

  1. 胆汁
  2. 膵リパーゼ
  3. 腸内細菌

脂肪便

ケトジェニック移行期間におけるタール状の便は「脂肪便」である可能性があります。

大腸にその生理的許容量以上の脂質が小腸から入ってくると起こりやすいです。

脂質は大腸に入ってくる前に消化・吸収されますが、まだ消化・吸収機能が十分に順応していないと、その分脂質が大腸に入ってきますね。

つまり、脂質が十分に消化できていないということですね。

胆汁不足・膵リパーゼ不足

高糖質食を行っていた方は、脂質を消化するための胆汁や膵リパーゼをあまり使っていません。

低脂質食ですので、必用がないから使ってないのですが、ケトジェニック食で多くの脂質を摂るようになり、まだ順応が十分ではないと、これらの消化分泌物はすぐには十分に出てきません。

胆汁はコレステロールより作られます。膵リパーゼはアミノ酸から作られます。

高糖質食や菜食を中心に食べてこられた場合、これらの消化分泌物の原料である脂質やタンパク質摂取量が十分でないことが多いですね。

また、植物を十分に消化できない傾向にある方は、植物タンパクから十分にタンパク質を摂取できてない場合もあるでしょう。

原料がないと分泌物を作ることはできませんね。

分泌物生成力が低い傾向にありますので、脂質を十分に消化できずに、次の消化ステージに渡してしまいます。

胆汁も膵リパーゼも食事の中のタンパク質と脂質の量が多くなれば、順応して多くなっていきます。

腸内細菌叢と便の色

便の色は胆汁に含まれるビリルビンと腸内細菌の状態によって影響を受けます。

胆汁の95%は回腸で再吸収されますが、食事の変化に対する 腸内細菌叢の 適応が終わっていない場合、吸収が十分でない可能性があります。

ビリルビンの本来の色は緑です。

腸内細菌がビリルビンから茶色のステルコビリンへと代謝を行い、通常の便の色を作っていきます。

腸内細菌の状態によっては、褐色度が高くなることがあり、これが便の褐色度を高めている可能性があります。

また、逆に黄色が強くなるケースもあります。

順応期間

初めての脂質代謝への移行は、カラダの全体的な不均衡が落ち着くまで2週間から2ヵ月ほどかかります。

この間に便秘や下痢や、ここでも扱った便の色が変化することもありますので、痛みや辛さがなければ、順応期間が過ぎるのを待つとよいでしょう。

しかし、どんな食事法であれ、便の適応が起こらない場合、潰瘍や膵炎など疾患の症状である可能性があります。長期で続く場合は検査をしてみるとよいでしょう。

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