低糖質食でなぜ便秘がおこりやすいのか?その解決法は?

便秘とは腸の蠕動運動や消化吸収量が落ちることで、排便が減り、腸内に食べ物からの消化物が滞留する状態です。

低糖質食では三大栄養素の配分の変化にともない食事内容を適切に変化させないと便秘が起こりやすくなります。

通常は標準食である高糖質食から炭水化物/糖質を減らすことになります。この食事内容の変化は複数の環境変化を腸に起こし、これが原因で便秘になることがあります。しかし、適切にこの変化に対応することで便秘は防ぐことができます。

腸内細菌の変化

標準食から低糖質食に移行して数日間は、食事内容が変化することで、それを餌としている腸内細菌の種類もがらっと変わります。わかりやすく例えると引っ越し作業のようなものです。引っ越し中は、あまり他のことに手が回りませんよね?

これは、数日、長くても2週間で、腸内細菌組成が落ち着いてくると自動的に解決します。

腸のケトン体利用がすぐにたちあがらない

腸はケトン体を利用して活動することができます。しかし、低糖質食を始めてしばらくはカラダの各器官は新しい燃料を使うための酵素活性を高めていきますので、この間はエネルギー需給のギャップが起きやすいです。

ケトン体は肝臓で作られていることが知られていますが、腸でもタンパク質を利用して生産することが可能です。この生産が立ち上がるのも数日かかります。

食物繊維摂取量の低下

低糖質食では標準食における食物繊維源である穀物(小麦、米等)芋、フルーツなどの摂取が抑えられます。

腸のエネルギーは、この食物繊維を腸内細菌が発酵して作られる短鎖脂肪酸を燃料に作られます。食物繊維の摂取が少なくなることで、腸が使えるエネルギーが少なくなることで活動量が低下します。

解決法としては、腸がケトン体をうまく利用し始めるまでは、糖質量が多くない野菜や果物をより多く食べることで食物繊維を摂取することです。具体的には葉野菜、ベリー類などです。

食物繊維を止める、もしくは減らす

(追加 2022.11.18 ) 「食物繊維量の低下」 で書いたこととは矛盾しますが、人類は旧石器時代は動物食を中心とした食事を行ってきており、食物繊維の摂取量は多くありませんでした。

人のカラダは十分農耕食に適応していないと考えると、特に低糖質食で食物繊維を代謝する腸内細菌が少なくなると、腸が十分に運動できなくなる可能性があります。

食物繊維を減らしたり、極力省いたりすることで、便秘が回復することが良くあります。

腸は食物繊維がなくても、タンパク質などから燃料を作ることができます (1)。

ミネラル分が不足する

細胞の活動にはミネラルが必要です。特にナトリウム、カリウム、マグネシウムは特に大切です。

低糖質食ではブドウ糖に変わってケトン体が脳の主要燃料となります。すると、血中インスリン濃度は低下します。

インスリンには腎臓においてナトリウムやカリウムの再吸収率を高める効果がありますので、インスリンが低下すると、これらのミネラルが前より排出されやすくなりますので、その分は意識して摂取してあげる必要があります。

マグネシウムは高度に精製された加工食品には少なくなりがちですので、本物の食材、お肉やお野菜を意識して摂っていきましょう。

水分

ケトン体には利尿効果があります。ケトン体は酸性ですので、 過剰に生産されると、カラダは自らのpHバランスを整えるため、腎臓でろ過して尿で排出します。

低糖質食ではケトン体を燃料として代謝しますので、水分の排出は標準食よりも多くなりがちです。

また、低糖質食ではココナッツオイルなどの脂質をコーヒーなどのカフェイン飲料にミックスして脂質をより多く摂取する工夫が実践されています。これらのカフェイン飲料も利尿を促進します。

水分ロスが起こらないように水は適量を摂取することを心がけましょう。目安としては一日1.5-2Lです。

脂質が足りない

低糖質食とはその名通りに実行すると、糖質を減らす食事です。減らした分のエネルギーは他の栄養素で補う必要があります。ケトジェニックな食事では脂肪で補っていきます。

脂肪の摂取量の設定はダイエットの目的に応じて様々です。しかし、この量が不足すると、腸を含むからだ全ての活動量がその減少した総エネルギー摂取量に順応していくために低下していきます。当然、腸の活動量も低下していきます。

糖質摂取量を減らすのであれば、目標とする脂質の摂取量で補えていることを確認していきましょう。

乳糖が多い

低糖質食/ケトン食では他のダイエットでは禁止されてることが多い乳製品が食べれることは喜ばしいことですよね。しかし、チーズやバター、プロティンなどには乳糖が含まれています。

乳糖に対する耐性は文化によって違うのですが、日本では90%が乳糖不耐だと言われています。つまり、離乳以降、乳成分の乳糖に対する耐性が落ち、これが腸で炎症の原因になります。牛乳をたくさん飲むと下痢をする方が多い理由の一つがこの乳糖です。

乳糖の問題は下痢なのですが、逆に炎症により便秘が起こることも指摘されています。便秘の場合は乳糖を含む乳製品を増減させて腸の調子をみてみるとよいでしょう。

その他気を付けること

朝の運動量

腸の運動は朝起きてカラダが副交感神経優位から交感神経優位に変化するなかで、活動量が上がってきます。

加齢とともに、この切り替わりは鈍くなっていきますので、ウォーキングやストレッチなどで腸に刺激を与えることで、排便が起こりやすくなります。

お酢

冒頭で説明した腸細胞の燃料である短鎖脂肪酸、その一つである酢酸はお酢に約5%含まれています。

お酢の短鎖脂肪酸は小腸でほぼ吸収されてしまいますが、ここを通過して大腸まで到達したものはそのまま腸の栄養となることが可能です。

便秘のように生理的不快な状態は、初めて低糖質やケトジェニック食を試す人には食事の継続を止める十分な理由になりえます。あらかじめ、その対処法を理解し、便秘になってもすぐに対処できるようにしておきたいですね。

Last updated 2022-11-19

3件のコメント

  1. ありがとうございます本当にわかりやすく説明いただきありがとうございます。
    何度も読み返して、取り組んでいきます。ありがとうございました

  2. ありがとうございます
    自分は水分不足だと思います

    利尿作用が増す
    ミネラルが排出される
    短鎖脂肪酸が腸内細菌のエサになる
    等知らないことだらけでした。

    しっかり落とし込んで生活して行きたいと思います

  3. ありがとうございますとてもわかりやすく理解できました❣️お客さまの悩みに寄り添うことが出来そうです感謝

返信を残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA