ケトン体サプリに関する質問をいただきました。
// 質問:
Exogenous Ketones、外因性ケトンなるサプリがありますが、摂取して大丈夫なものなんでしょうか?
ケトン体になりにくい人が、安易に手を出しているみたいですが、良いのでしょうか?
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外因性ケトン体サプリは、以下の理由で採用を見送っています。
1. ケトン体上昇は目的ではなく結果である。
脂質代謝遺伝子に問題がない限りケトン体は全ての方が食事とライフスタイルで十分作ることができます。
私達は、ライフスタイルの変革を目的としており、ケトン体上昇はその結果でしかありません。
ケトン体は食事により肝臓が必要なだけ作ってくれます。
ケトジェニックで治療をしたい人など様々な理由でケトン体を高値で保ちたい人は、食品であるMCTを使うことで自身のカラダが必要な量のケトン体を作れます。
必要な栄養は食事から作る、作れなければできるだけ食品に近いサプリで補う。それもなければ合成で…それも本当に必要なのかを真剣に考える。これが基本です。
2. 内因性に勝る物質はない。
ケトン体は燃料としてだけでなく、ホルモンのような信号伝達の役割もあります。
カラダの中では、Aが起きたらBが起きる、などの線的反応ではなく、様々な因子の複雑なフィードバックループによって調和が保たれています。
内因性であればそのバランスがとりやすいです。
しかもケトン体は食事由来でも、即効性の遅延などがありません。
3. 一般に流通している外因性ケトン体は「ケトンソルト」
一般に流通している外因性ケトンはケトンソルトと言われるBHBとミネラルイオンの化合物です。
しかし査読研究で使われているのは、ケトンエステルと呼ばれるβヒドロキシ酪酸とケトン体前駆体の化合物です。
ケトンエステルはケトン体上昇の効果はありますが、非常に高価で一般消費者がサプリとして摂り続けるには非現実です。また、非常に苦いので生活習慣になりにくいです。
また、ケトンソルトもエステルほどではないですが、苦く、高価です。
4. 査読されたエビデンスがまだ一件もない
私達の活動はエビデンスに基づいた知見に支えられています。
しかし、世界中の研究者からの批判に耐えうる、ケトンソルトの効果に関する査読された論文はまだ一つも存在しません。
そして、ちまたの外因性ケトンサプリの謳い文句には脂肪を溶かす、など全くエビデンスに基づかない効果と一緒に販売されています。
5. ケトン上昇効果が薄い/ない
流通しているあらゆるケトンソルトやケトンソルトが含まれる製品を個人的に試してみましたが、ケトン体上昇効果は一回の摂取で全くないか、0.2~0.3mmolでほんの僅かでした。MCTと比べて高価な費用に見合わないと感じました。
その他にもいくつか注意点があります。
○ 外因性ケトン製品で人気のある製品は主要成分としてMCTパウダーを使っており、その他あらゆる添加物が入っています。つまり、結局は高価なケトンソルトを使わずに、加工されているMCTパウダーにケトン体上昇効果を依存しています。
○ 多くの外因性ケトン製品ではケトンソルト以外の痩せる為のカフェインやリンゴ酸などの安価な成分が使われています。カフェインやリンゴ酸は脂肪燃焼効果がありますが、ケトン体の効果や自然な脂肪燃焼で痩せるわけではありません。
○ 内因性ケトンは脂肪分解を促進しますが、外因性ケトンは脂肪分解を止める効果があります。
ケトンエステルに関しては、目的によっては使える
ケトン体を遺伝的にうまく作れない人、遺伝的に糖代謝ができない人、てんかんやアルツハイマーなど脳の糖代謝に異常がある人など、常に安定した高ケトンを維持する必要がある人たちにはケトンエステルはとても価値の高いサプリメントでしょう。
しかし、ケトンが出にくいのは、単に食事の内容やライフスタイルがケトジェニックではないのが原因です。だからケトンソルトを使う、というのは道理が矛盾しているのです。
ケトン体の上昇した数値では健康はもたらされません。
ケトン体が上がるような食事やライフスタイルこそが健康を作ってくれるのです。