バービーの代謝異常


今週届いたTIME誌の表紙を見て驚きました。
ティーンのはずのバービーの体型が・・・シルエットだけ見たら一気に40代に成長したようです。
Barbie TIME

下腹が少し膨らんで、ヒップが突出しています。正面の人形写真を見ると横にも膨らんでいます。
世界の少女のアイドルであるバービーが今年1月28日に4種の体型で発表されています。
20160206_curvy

バービーを開発したMattel 社のRuth Handler はNYタイムスのインタビューでこう語っています。
「全ての少女は自分の未来の夢を投影してくれる人形が必要だ」

着せ替え人形で遊ばない男性にはわからない世界がきっとあるんでしょうね。

さて、Mattel社といえば、世界中でバービーを販売し、長らく世界一の玩具会社でした。

ところが近年、バービーの売り上げの急低下により、世界一の座をLEGO社に奪われています。
また、アナ雪などディズニーコンテンツから飛び出してきたElsa人形に販売売場で主役を奪われるなど、強力なライバルも登場しています。

2008年には1秒で3体売れていたバービーが2014年には3秒で1体に売上ペースを落としています。それでも1000万体以上になりますので、どれだけバービーが世界の少女たちに影響を与えるアイドルなのかが想像できますね。

そこで、現在の人々の多様な(現実的な)体型を人形に反映させる商品戦略として、ぽっちゃり型のバービーを「Curvy(カービー) 」として「Tall」や「Petite」バージョンと一緒に市場に投入しました。
僕は2つの視点から興味をそそられました。

まず、1体から4体へ体型の違う人形を投入して、バービーの価値はあがるのか。売れ筋のセダンが売れなくなった自動車会社がハッチバックとSUVと軽を出してくるようなものではないのか。しかし、一人の少女ファンが4体型すべてのバービーをそろえたいというのであれば、客単価は上がります。この戦略が上手くいくのか、バービーのイメージをさらに混乱させるのか、今後の展開が楽しみです。

すでにそれまで買いためていたバービーの衣装がCurvyには小さすぎてはいらないという不満も起こっています。

もう一つは、Curvyの体型が今の一般的なアメリカ女性の体型を連想できる理想形を象徴しているということです。僕がまだ30年前にアメリカで高校生していたころは、ここまで膨らんでいる女生徒は少数派でした。

少女が自分の「未来の夢を投影する」人形、Curvyがティーンの理想体型だと思い込んでしまい、未来へのイメージと自分の体型の間にループ思考が働くのではないかと思います。

Curvyの体型は30、40代であれば魅力的ですが、バービーの年齢はティーンです。現代のアメリカ人女生徒の多くはこの腹囲を上回るお腹を持っています。そして、ロールモデルとしての人形が少女達に与える影響は絶大です。

日本のリカちゃんも同じ道をたどって、いつの日かぽっちゃりリカちゃんが登場するのでしょうか。

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