「飽和脂肪酸は体に良くない」をなぜ信じてしまうのか (5) First Do No Harm


Primum non nocere

とはラテン語で First Do No Harm 「何よりも害を成すなかれ 」という格言です。医師の宣誓であるヒポクラテスの誓いにも同じような「害を与えない」という約束があります。

医療におけるすべての学生が教育課程で教えられ、世界中の基本原則である生命倫理の主要な原則の1つです。日本でも教えられているのでしょうか?

「善よりも害をもたらすリスクを冒すよりも、何もしないほうがよい」という考え方です。

医療従事者に介入がもたらす可能性のある危害を想起させ、明らかに高いリスクを伴い、確実性が低い介入の使用について注意をうながしています。

迷った時は進化生物学で考える

栄養で迷った時は、このFirst Do Not Harm の考えに基づき、人類がこれまで進化的に行ってきた食事を考えてみます。

私達がこの数百万年かけて食べてきたものであればまず安心です。

特に狩猟採集時代では250万年間の間、栄誉の 28 ~58 %は脂質から摂取しており、その多くは動物脂肪由来の飽和脂肪酸であったことが分かっています。そして狩猟採集民族に心血管疾患は存在しないのです。

先住民食に含まれない栄養や食べ物を選ぶ時には、非常に注意すべきです。

人類史において直近の250万年間は 多価不飽和脂肪酸(PUFA)を大量に摂ることや、PUFA含有が多い食材を摂取することは、ありませんでした。

動物脂肪の飽和脂肪酸や一価不飽和脂肪酸を中心に食べることが大切です。

植物油に含まれる多価不飽和脂肪酸は現代工業技術により大量生産できるまで、人体に大量に摂りこまれることはありませんでした。そして、摂りこまれ始めた途端に、それまでは稀な病気だった、現代の慢性病のパンデミックが起こっています。

PUFAの害についてはすでに明らかになっていますが、まだ栄養世論を操作する強力な力がAHAや産業界から働いています。

ですので、今回シリーズでお伝えしてきたような、情報の選び方、を身に着けることが自らの健康を守るためには必要なのです。

(1) 複数の同じような主張を展開している記事を読み、問題を定義する
(2) 主張の根拠の有無を確認する
(3) 主張の根拠を評価する: エビデンスの強さ
(4) 誰が主張しているのかを調べる
(5) 迷ったら First Do No Harm 進化生物学的に考える
(6) 直近の研究のアップデート

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