イスラエル航空産業:国際事業で国家生存を実現する


4月21日、テルアビブのイスラエル航空産業(IAI)でブリーフィングを受けていました。

産業とありますが、これはれっきとした社名です。日本にもJTとして民営化しましたが、「日本たばこ産業」という政府系会社がありました。

もともとは建国時代に対アラブ戦で使われた戦闘機を含む航空機を整備する国営企業としてスタートしました。21事業部からなる6事業グループを持つ現在も100%国営会社ですが、健全な経営により補助金なしの完全独立採算で利益を出し続けています。

現在ではその事業領域を宇宙、航空、海、陸まで広げ様々な民間及び軍事用の機器を作っています。

顧客はイスラエル政府はもちろんですが、世界中の政府、及び民間企業です。生産量の80%を輸出しています。イスラエルは先進国といえども人口1千万以下の比較的小さな国です。したがって、国内マーケットだけでは成長が限られます。国際マーケティングの例として米国ガルフストリーム社のビジネスジェットのOEM生産のラインを見ることができました。

しかし注目すべきは軍事兵器開発能力です。中東において国家が生存するためには軍事力で周辺諸国を圧倒しなければいけない。兵士の数では逆に圧倒されているため、兵器技術を最高レベルに維持しないといけない。しかし、もちろん国内消費だけでは研究開発費を捻出できない。そこで、顧客を世界に求めれば上にあげた全ての目的を達成できる。国家生存の為の中枢企業ともいえるでしょう。

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また、無人偵察機の分野では世界一で、こちらは生産ラインは軍事機密もあり見学はできませんでしたが、ショールームには数十センチから通常航空機の大きさの無人偵察機まで様々な種類の無人偵察機を見ることができました。偵察機は他国の領土内で活動する場合撃墜されるリスクがありますので、偵察活動を無人で行うことは大きな価値があります。コストの多くが機体よりもカメラなど情報収集機器にかかってくるとも教えてもらいました。

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