ケトジェニック率(比/指数)


ケトジェニックレートはケトジェニック比、ケトジェニック指数と言われているようです。僕は「ケトジェニック率」と呼んでいました。

ケトンダイエットアドバンスコースでは1日目でさらっと履修する内容ですね。

 

ketogenic_rate.fw

復習をかねながら、この式の本質を見ていきましょう。

コースの中で、さらっとしかやらなかった理由は、この式が非現実的な前提に基づいており、健康増進を目的とするケトンダイエットの実践やアドバイスにはあまり役に立たないからです。毎日何かしらアドバイスを求められる僕もこの式を使うことはほぼありません。(医療目的でリスク管理のために使われる場合は意味があると思います)
ただ、この式は三大栄養素が ケトン産生に与える影響を表しているので、栄養素とケトンとの関係を説明する上で良い役割を果たしてくれるんですね。
食事療法である「ケトジェニックダイエット」はM.D. Russel Wilderによって1920年代に開発されました。このダイエット法はそれまでに培われてきたWoodyattやShaffer、Magnus-Levy等の研究をもとに構築されています。
ケトジェニック比は実は他にもいくつか存在したのですが、このWoodyattの公式が主流となりその後広く臨床でも使われるようになりました。
分子はKetogenic、つまり、ケトン産生にプラスに働く、ということです。分母はAnti-ketogenic、つまり、抗ケトン産生、ということですね。
ケトーシス (ケトン産生、代謝)に入るしきい値は、この比率では約1.5であるとされています。しかし、てんかんにおける発作抑制のためには3~4必用とされ、このガイドラインは現在でも実際の治療に使われています。
この式で一番理解しやすいのは、C、の部分です。これは糖質は100%抗ケトンということですね。糖質制限をしないとケトン体が生産されないわけです。
次にf=fat=脂肪です。ケトンダイエットは 脂肪を主要エネルギーとしていく代謝です。あれっ?と思いませんか?脂肪がどうして分母=抗ケトンにあるのでしょうか?ケトン体は脂肪から作られるはずですよね?
実は、脂肪からはわずかですが糖が作られます。脂肪は脂肪酸とグリセロールに分解されます。脂肪酸の一部はケトン燃料となりますが、グリセロールは糖へと変わります。脂肪の一部は糖になるのです。
 glucose from fat
さて、この式があまりあてにならない最も大きな理由であるprotein = タンパク質に話を移しましょう。上には0.46、下には0.58という係数が使われています。
タンパク質は糖新生により糖になりますので、過剰なタンパク質摂取はケトン体産生にマイナスに働きます。またタンパク質摂取はグルカゴン分泌を促すこともわかっていますので、ケトン産生にプラスにも働きます。
またアミノ酸の中にはケトン体に変わるケト原性アミノ酸(トレオニン / ソロイシン / チロシン / フェニルアラニン / トリプトファン)もあり、これもケトン産生にはプラスに働きます。
ところが、この式で設定されている0.46や0.58という係数は常に一定ではなく、体脂肪率や食事内容によっては大きく変わります。
また、その人がケトン導入中(~3日)なのか、ケトン順応中(~2週間)なのか、順応後の順応深度がどの程度なのかによってもタンパク質係数は変わってきます。
そして、この式の最も大きな問題は、すでに蓄積されている脂肪と筋肉=タンパク質の量が摂取栄養とともにケトン産生に与える影響を全く考慮していないということです。たとえば、断食している方は食事をとらなくてもとても高いケトーシス状態を保っています。この場合は1日一杯のエネルギー源は糖質のみの酵素ジュースしか飲まなくてもケトジェニック比は低いにも関わらずケトン濃度は高い状態が続きます。
この式はisocaloric、つまり摂取と消費カロリーのバランスがとれていることが前提となっています。減量ダイエットのようにカロリー差分を常に作りながら行うダイエットに厳密に使っていくには使いづらいですね。
しかし、いつも驚かされるのですが、今だんだんと認知されつつあるケトン代謝の研究が今から約100年も前に基本的なことは解明され、運用されていたんですよね。当時の研究者達には本当に頭が下がります。
医療目的であれば、リスクを抑えるために提供する食事のケトジェニック指数をあらかじめ調べることはよいチェック作業だと思います。
しかし、現在では検査技術が進み、尿中・血中ケトン体濃度は医療機関でなくても簡単に安価で測れますので、健康目的でケトンダイエットを行う際には、食べて、調べて、のサイクルで食事内容を調整していく方が、より自分の身体にあったダイエットを見つけることができるでしょう。
I.A. Cohen, ” A model for determing togal ketogenic ratio (TKR) for evaluating the ketogenic property of a weight-reduction diet. ” Medical Hypotheses 73(2009)377-381. 14 March 2009.

ケトジェニック率(比/指数)」への2件のフィードバック

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です